全国銀行協会(会長・平野信行三菱東京UFJ銀行頭取)は、他行向けの振込時間の拡大に向け、複数案をまとめた。現在は平日午前8時半?午後3時半にシステムを稼働させているが、土日も振り込めるようにする案など複数案を軸に調整、12月をめどに結論を出す。
16日の理事会に拡大案を示し、議論を本格化させる。国内では、約1300の銀行や信用金庫が接続する「全国銀行データ通信システム」を通し、他行向けの振り込みを処理。現在のシステムでは、振り込み作業が午後3時半に間に合わないと、届くのは翌営業日になる。金曜夕方だと月曜朝まで届かず、ネットショッピングなどの商品発送や、企業決済に遅れが生じるなどの不満があった。
このため全銀協は、2019年までに予定される全銀システムの更新時期に合わせ、振込時間を拡大することを検討。土日も振り込めるようにすれば、利用者の利便性は高まる。しかし、システムの大幅変更は投資費用が膨らむ。金融機関は保守点検などの人員を増やす必要があり、地銀を中心に慎重論も強い。このため、平日の振込時間の延長にとどめる案もある。この場合は、現行システムの改良で対応できるため、早期の実現が可能だ。どの程度拡大するかは今後調整するが、小幅な延長だと、利便性の向上も限定的になる。
政府は、6月にまとめた成長戦略で、決済サービスの高度化を掲げ、銀行業界に「24時間化」の実現を迫った。取引がスムーズになれば、経済にも好影響を及ぼす。海外では、英国やシンガポールの一部大手銀が24時間・365日振り込みできるシステムを導入した。ただ、クレジットカードなど銀行振り込み以外の決済も浸透し夜間利用はほとんどないとされる。
毎日新聞より