三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行の大手4行が東京電力に対し、4月末に再開した計650億円の無担保融資を継続する方針を固めた。今月末が返済期限だったが、半年間の借り換えに応じる。
東電は平成27年3月期の単独決算で経常利益が1300億円規模となる見通し。コスト低減が進み、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働や電気料金の再値上げがなくても2期連続の黒字を確保する見込みで、4行は「足元の財務状況には問題がない」(銀行幹部)と判断した。
原発事故後の東電の経営悪化を受け、銀行や保険会社などの取引金融機関は融資を順次、担保付きに切り替えた。ただ、その後の国の支援拡大で、東電の経営の安定性が増したとの判断から4月に無担保融資を再開した。
一方、東電は、東日本大震災直後に三井住友、三菱東京UFJ、みずほ銀行の3行が実施した計1500億円の緊急融資が12月に返済期限を迎えることから、この分の再融資を求めている。さらに27年度には金融機関に3千億円の新規融資も求める方針だ。
これについて、金融機関は、東電が持続的に収益を確保できる事業計画が必要になると指摘。「業績が悪くなれば担保付き融資に戻す可能性もある」(銀行幹部)としており、原発再稼働や電気料金の再値上げについても説明を求める姿勢だ。
東電は追加融資などを認めてもらうため、一段のコスト削減を検討する。
総合特別事業計画では柏崎刈羽原発が今年7月から順次再稼働すると想定していた。今後も長期にわたって原発を再稼働できない場合は、財務状況が悪化する可能性があり、電気料金の再値上げも検討する。
2014/10/31 産経ニュースより